今まで舞台を観賞したのは数回しかありませんが、今日観た舞台、投資家リーマン一家の栄光と衰退を3世代に渡って描いた『リーマン・トリロジー』の風景は頭の中のピンタレストに保存して必要な時に参考として引き出したい!!と思える素晴らしい作品でした。

脚本はもちろんのこと、物語のテンポ、リズム、ピアノ演奏、5:8くらいの比率で二分された回転するガラス張りのキュービック、殴り書きのタイポグラフィー、そしてなんと言ってもこのガラス越しに映る彩度を落とした背景映像は、まるで誰かの写真集を見ている感覚です。
このモノトーンに近い舞台演出だからこそ、観客は物語に没頭できるんだと思いました。

特にインパクトのあった背景は、ブラックサーズデーの株価大暴落後、従業員が次々と自殺を図っていく地獄絵図をモダンに表現した瞬間です。
低俗な発想で申し訳ないけれど、美術館のお土産コーナーだったらクリアファイルにして売れるなと思える、切り取りたいシーンがとにかく多いのです。

世界中を金融危機に巻き込んだお騒がせリーマン・ブラザーズ。それでも、これだけカッコよく描いてもらえるのは、やはり舞台がニューヨークだからでしょう。
最後は綱渡りに失敗し転落してしまったけれど、初代リーマン3兄弟はニューヨークに夢を抱き、ドイツから海を渡り、困難を乗り越え希望の綱渡りに成功しました。
物語になるだけの人たちであったことは確かです。

そして最後に、この舞台は是非、是非観て欲しい!!本当に本当に素晴らしい作品だから。私の魂を使って翻訳したと、この舞台について浅草の酒屋の角打ちで熱く語ってくれた友人に心より拍手を送ります。

エンドロールが終わり、スクリーンが暗くなり
日本語字幕:柏木しょうこ
となった瞬間が今日一番、じーーーんと響いた瞬間でした。

リーマン・トリロジーの公演期間はそう長くないので、興味ある方はとにかく急いで観に行ってください!