先週末の話ですが、画家であり版画家の斎藤清『ムンクX斎藤清展』へ行ってきました。

案内チラシにあった解説文を簡潔にまとめてみました。

1940年前後からクロッキーを独学で学び始めた福島県会津出身の斎藤清は、ノルウェー出身のエドヴァルド・ムンクの作品に共感を覚え、特にムンクの作品『病める子』や『マドンナ』を模写し光の明暗、濃淡などを学んだ。

1951年、第1回サンパウロ・ビエンナーレ展に木版画『凝視(花)』を出品し、戦後日本人初となる国際展を受賞。これを機に、世界的に斎藤清の名は知れ渡るようになる。

しかし1960年代後半から自分の描く抽象表現にしだいに懐疑的になり、その後深刻なスランプに陥った。そんな時、再び彼を救ったのがまたしてもムンクだった。かつて自分が模写したデッサンを見つめムンクが描く対象の内面性に踏み込むことで、抽象の先にある新しい可能性を見出そうとした。

抽象画は確かに一見分かりにくいところがあるけれど、その画家が歩んできた道のりと作品の変遷を見ていくと、簡略化した時には、色と形だけ、線だけ、点だけなんていうのも納得させられるんだよね。なんと言っても斎藤清の顔と言える作品、会津の雪深い風景には、周囲の音を雪が飲み込んでしまった静寂さまで表現する白の使い方が絶妙。紙面いっぱいに白を広げても、ちゃんとそれが何なのか分かる。また白を際立たせるために家屋や空、木々に使う黒に白を混ぜて濃淡や明暗をつけて描き分けている。白の使い手、斎藤清。

会津の風景とは別に描く抽象画。描く対象の内面性に踏み込む。
うーーん、私はまだ形を的確に捉える段階で四苦八苦中。その段階へ辿り着くまで、まだまだ道のりは長いけれど毎日鉛筆を握ることは日課として続いている。やっぱりね、手を動かした日とそうでない日では充足感が違うような気がするんだよね。