今日は北浦和へカッサンドル・ポスター展を観に行ってきました。
カッサンドルはグラフィック・デザイン、タイポグラフィ、舞台美術等で活躍し、イヴ・サンローランのロゴタイポも作った、20世紀のポスターアーティストを代表する人物の一人。

会場に展示されていた汽車や船のポスターの前で、関西弁を話すおっちゃんが少々興奮気味に、連れの女性と列車旅や船旅について話をしていると、「もう少し小さな声でお話しください」と係員から声をかけられていた。

見上げる船体、もしくは船体を描く隙間もないほど巨大なファンネル、どこまでも続く線路、重量感のある汽車など、一度見た後もう一度戻って二度見してしまう。

なんだろう?
どこかで見たことあるような、ないような。

展示会場を出て1階にあるショップに並んでいた本を見て、「あ」。

隣にいた男性客も「あっ」。

そうか、深夜特急の表紙に使われていたんだね。

そのポスター展の隣にある小さな展示室では、2011年トーキョーワンダーウォール賞を受賞した若手アーティストの作品展示があった。
横目で見ながら通り過ぎようとしたとき、タイトルだけが目に飛び込んできた。

「飲めないジュースが現実ではないのだとしたら
私たちはこの形でこの世界にいないだろう」

はい??
もう一度。何ですって?

そして立ち止まってパネルを読んでしまう。

あまりにもワンダーなタイトルに、彼女の近年の個展タイトルを確認してみた。

2012年:
「思い出せる光景と思い出せない光景を見た地球から見える星も見えない星も公転しあっている、地球含め」

2013年:
「たおれた花器の水面下ではもう一度同じ花が水を吸い上げている」

20世紀のグラフィック・デザインの巨匠、その印象は若手ワンダーの出現により一瞬にして薄まってしまいました。

 

カッサンドル・ポスター展

 

深夜特急の表紙

 

埼玉県立美術館