昨晩は友人と以前から気になっていた中目黒のラーメン店へ行こうと、駅の改札口で待ち合わせ。
中目黒駅は何度も利用しているのに、ボトルが並んでいる薄暗いカウンターバーがホーム越しにあることに、その日初めて気が付いた。
気になっていたラーメン店アフリで食事を済ませたあと、友人の転職祝いにとそのバーへ行くことを提案するのだが、駅周辺をぐるっと歩いても見つからない。
もう一度探そうと歩き始めた時、明るく賑わっている焼き鳥屋上方に、薄暗い長方形の空間がちらっと視界に入った。
店舗案内の看板をみるとパッと見は空き店舗に見えるのだが、よく見ると白い名刺がセロテープで貼ってある。
目立たないミミズがはったような書体でbartoday。
階段を上っていくと3階は麻雀店。煙草の臭いが外まで漏れている。
鼻をつまんで3階を抜けると、やっているのかやっていないのか判断がつきにくい白い扉があった。
扉の前でとりあえず、鼻をヒクヒク。臭いチェック。
少し扉をあけて、もう一度鼻をヒクヒク。
煙の臭いはしない。合格だ。
店内は落ち着いた内装でスピーカーからの音質も、カクテルの味も値段もパーフェクト。
中目黒に住んでいたら間違いなく、行きつけのお店にしていただろう。
それにしても、なんだか憎い。
全てが洒落ているのにいやらしさがない。
そして何もかも控えめ、清楚な佇まい。
間接照明のカウンター前には、ボトルリカーが整列している。
背後のプラットホームでは明かりが煌々と光り乗車アナウンスが響く。
一見ミスマッチに思えるが、それがあるから気取り過ぎない安心感を与えてくれる。
やっぱり憎い。
そして音楽。
その日は月曜の夜ということもあるのか、静かにオペラが高品質で流れている。
スピーカーはそれぞれ、ビールで言うコクとキレを担っているとマスターは言う。
文句なしに憎い。
お店を出る前、営業日を尋ねた。
「営業は金・土・月の3日間です」
ここ以上に憎いbarを見たことがない。

